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Q&A

資質・能力の3つの柱の育成と評価を,教科書内ではどのように具現化して編集していますか。

 「ふりかえり」で既習事項を確認しながら,「やってみよう」や節末の「確かめよう」で定着できるようにしています。「Q」では数学的な見方・考え方を示しながら,問題解決への見通しを立て論理的に考察できるようにしています。巻頭の「数学の力」,章末の「役立つ数学」,「深めよう」など身のまわりで数学が役立っている場面を積極的に取り上げ,意欲的に学習に取り組めるようにしています。また,節末の「どんなことがわかったかな」や章末の「○章を学んで」,巻末の「今の自分を知ろう」では,自己評価ができるようにしています。

「主体的・対話的で、深い学び」に資する工夫がありますか。

 生徒自ら問題を見いだし,問題解決への見通しを立てて解決していき,さらに新たな問題を見いだすという学習過程を設定して,主体的な学びが実現できるようにしています。その中で,話し合いの場面を多く設定しています。その学習過程をわかりやすく示してあるのが,「数学的活動」のページです。また,生徒自らの「問い」で学習をつなげ,発展的・統合的に学習を進めていくことで深い学びが実現できるようにしています。さらに,章末に「できるようになったこと」や「さらに学んでみたいこと」を設定し,次の学習への意欲がもてるようにしています。

学習指導要領が変わったことにより,前回から具体的に変わった点はどこですか。

 ・28年度版の生徒の疑問で学習をつないでいくというコンセプトをさらに発展させ,「Q」で数学的な見方・考え方を用いながら問題解決への見通しを立てることを取り入れています。
・生徒が数学の学習のしかたがわかるような構成にしてあります。
・節末や章末で学習をまとめ,自己評価ができるようにしたり,数学が役立っている場面を積極的に取り上げています。

キーワードである,「見方・考え方」をどのように扱っていますか。

 1つの学習の始まりである「Q」において,どのような数学的な見方・考え方をしていくのかの例を示しながら,解決への見通しを立てる話し合いの場面を設定しています。また,巻末で,どのような数学的な見方・考え方をしてきたのかをまとめる『「見方・考え方」をまとめよう』のページを設定してあります。

自学自習や,学んだことを定着させるための工夫はありますか。

 生徒が自学自習をできる構成になっています。本文中の「トライ」,「計算力を高めよう」,「章のまとめの問題」,「深めよう」,巻末の復習問題については解答を掲載し,自学自習がしやすいようにしています。

国際学力調査や,全国学習状況調査のために,どのような工夫がなされていますか。

 国際学力調査や全国学力・学習状況調査に対応するため,章末の「章のまとめの問題」に「活用」のページを設定してあります。ここでは,レポートから必要な情報を読み取って考えたり,グラフを活用して判断したりするなど,活用に関するさまざまな問題を取り上げています。

協働的な学びを促す工夫がありますか。

 「Q」で話し合いの中から問題解決への見通しを立てる場面を設定したり,「数学的活動」のページで話し合いをベースに展開したりして,協働的に学習を進めていけるようにしています。また,巻末の「表現する力を身につけよう」では,レポートのつくり方や発表のしかた,発表の聞き方を提示し,自分の考えをまとめる・他者に伝える・レポートを見直すことを通して,意欲的に協働学習ができるようにしています。

個に応じた学びを助ける工夫がありますか。

 本文中の「やってみよう」で習熟を図ったり,「おしえて!」で発展的な内容にふれたりできるよにしています。また,章末の「深めよう」,巻末の「疑問を考えよう・数学の歴史の話」を設定し,興味・関心に応じて課題を選択し,取り組むことができるようにしています。

日常生活との関わりを取り上げたところがありますか。

 各章のとびらでは身のまわりの事象から問題を見つけるような展開にしたりするなど,さまざまな場面で身のまわりの事象を取り上げています。また,巻頭の「数学の力」や章末の「役立つ数学」,「深めよう」,巻末の「疑問を考えよう・数学の歴史の話」などで,身のまわりで数学が役立っている場面を取り上げています。

今日的な課題,これからの社会や未来の課題などは取り扱っているところはありますか。

 随所に再生可能エネルギーなどの環境問題を取り上げたり,巻末の「今の自分を知ろう」ではSDGsを題材にして国際的な課題について取り組むことができるようにしています。

生徒が,教科の学びと自己のキャリアや将来の夢などとつなげて考えられる工夫がありますか。

 巻頭の「数学の力」では数学を役立てている職業に就いている方のインタビューを掲載しています。また,職業や仕事と関連する題材についてはマークをつけ,生徒自ら調べることで,より学習を深められるようにしています。

経験の浅い教員に対しての工夫はありますか。

 教科書の学習の流れが,「算数・数学の学習過程のイメージ」通りになっており,そのまま授業を進めることができるようにしてあります。生徒の疑問の例として本文中に「おしえて!」を設定し,「Tea Break」でその解答を示しており,生徒の疑問に答えられるようにしています。また,領域の初めの「ふりかえり」,本文中の「ふりかえり」で前学年までの既習内容を示してあり,どんな既習事項が必要なのかがわかるようになっています。

小学校(算数)の学習との連携をどのように図っていますか。

 教科書の学習の流れが,「算数・数学の学習過程のイメージ」通りになっており,そのまま授業を進めることができるようにしてあり第1学年では,小学校で学習した内容を各領域の最初に「ふりかえり~算数から数学へ~」で確認できるようにしています。また,本文においても,小学校での既習事項が必要な場面には,側注に「ふりかえり」を入れることで確認できるようにしています。

プログラミング学習(プログラミング的な思考)をどのように取り上げていますか。

 各学年の巻末で,「プログラミングを体験してみよう」を設定し,スクラッチを使用したプログラミングを体験しながら,プログラミング的思考,論理的思考が身につくようにしています。

UD(ユニバーサルデザイン)の配慮はありますか。

 英文字や記号などは,和文の書体と組み合わせた際の見え方を検証して製作した書体を使用し,文字の大きさや字間,行間は,分数などの数式が組み合わさった際も見えやすく読みやすいように配慮しています。また,特別支援教育専門家の校閲を得て,写真,イラスト,図版,本文の記述などすべてにおいてカラーバリアフリーとなるよう配慮しています。

防災や環境問題について,どのように取り上げていますか。

 新潟県中越地震や再生可能エネルギーなどを適宜教材として取り上げ,防災や環境問題について考えるきっかけとなるようにしています。また,各学年の「自分を知ろう」では,SDGsを取り上げ,「海面水位の上昇」「フェアトレード」「エシカル消費」を題材として扱っています。

近年教科書が厚く重くなっているという話を聞きますが,どのような対策をしていますか。

 教科書の内容を精査し,ページ増にならないよう工夫するとともに,教科書用紙を見直すことにより,教科書を軽量化しています。

QRコード教材はどのようなものがありますか?

 図や図形などを動かすことにより,学習の助けになる場面を中心に,QRコード教材を入れています。

繰り返し,反復学習の充実をどのように図っていますか。

 各領域の前に,「ふりかえり」を設け,前学年までの内容を確認できるようにしています。本文中でも,側注の「ふりかえり」で既習内容を確認できるようにしたり,必要な箇所にふりかえりのための問題をいれ,学び直しができるようにしたりしています。また,本文側注の「やってみよう」では,「計算力を高めよう」の問題ができるようにしています。

日本の伝統や文化について取り扱っているところはありますか。

 日本の伝統文様である「麻の葉文様」「亀甲文様」「青海波文様」「業平格子文様」を教材として取り扱っています。伝統的な工芸品として,「箱根寄木細工」や「薩摩焼」などを取り上げています。また,日本独自に発展した「和算」の歴史や和算家の関孝和や伊能忠敬の業績を紹介したり,「塵劫記」や「算額」の問題を教材として取り扱ったりしています。

統計に関する内容は増やしていますか。

 統計の領域においては,データをまとめる問題を増やしたり,批判的な考察ができるような問題を各学年に設けたりするなど,統計の領域を充実させています。

数学的活動を意識したページはありますか。

 「算数・数学の学習過程のイメージ」通りの学習ができるような「数学的活動」のページを設けています。日常生活や社会の事象を数理的にとらえ,数学的の考える資質・能力を育成します。また,話し合いをベースに生徒が主体的に問題発見から課題解決,さらに新たな問題を発見する過程を協働的に行えるようにしています。

巻末の「アイデアボード」はどのように利用するのですか。

 授業の中で自分の考えやグループで考察した内容を発表する際に,ホワイトボードの代わりとして使うことができます。ホワイトボードマーカーで書いたり消したりでき,発表や野外活動などで持ち運ぶ際には,教科書から切り取って使用することもできます。

高等学校から下りてきた学習事項をどのように扱っていますか。

 「箱ひげ図」の学習内容が高等学校から中学校へ変更されます。章のとびらで,既習内容である度数分布表や度数折れ線について復習するとともに,同じデータを箱ひげ図で提示し,箱ひげ図ではどのようなことが読み取れるかを予想させる導入としています。