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はじめの一歩の一歩前

21歩目 1人1台端末の活用促進に向けた校内研修の具体的事例

長野市立東条小学校 滝沢 雄太郎

(1)体験的な10分間プチ研修
 ICTに不慣れな先生にとって、1回で多くのことを体験しても、なかなか定着しません。逆に苦手意識が強くなってしまうこともあります。本校では、水曜日の児童下校後、会議や打ち合わせで、職員が集まった際に、1つのことに絞って体験する10分間のプチ研修会を行っています。説明は短く、体験しながら、スモールステップで進めていきます。1回目は「iPadの始め方・片づけ方」、2回目は「カメラの使い方」など内容を絞って進めます。全体でのプチ研修を入れられない時には、いつでも自由に見て繰り返し学べるオンデマンド型プチ研修を取り入れるなど、短時間でも積み重ねていく場を用意していきます。スモールステップで少しずつ進めること、先生たちが「できた」「楽しい」と思える体験を繰り返すことで、気軽で気楽な体験を積み重ねていく研修方法です。

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左:プチ研修に取り組む職員、右:職員のニーズに応じてテーマを組み立てる

(2) Jamboard を使った授業研究会
 校内研究授業後の授業研究会では Jamboard を活用しています。放課後等に授業研究会が設定されることが多いので、研究会の時間を効率よく進めるように、研究会までに授業を参観した職員が論点に沿って付箋機能を使い、貼っておきます。授業研究会は付箋が整理して貼られた Jamboard が完成した状態をもとにスタートします。この方法であれば、1つの部屋に集まらなくてもZoomなどのオンラインと併用して協議が可能です。また、研究の Jamboard をそのまま研究のまとめとして利活用ができます。このように Jamboard などのクラウドツールをICT研修以外の研修や会議に使用する対話ツールとして、研究主任などの担当者と打ち合わせをして、意図的に組み込んでいきます。内容はICTではないけれど、方法はICTの状況を作ります。そうすることで、自然とそのクラウドツールを使わざるを得ない状況になり、先生たちが自然発生的に教え合う姿が生まれます。意見共有では Jamboard 、感想記入は Googleフォーム のように会議、研修の中でICTを方法として取り入れ、「体験の場」を増やしていきます。研修ではないけれど、方法としてのICT活用の場を増やすことで自然と先生たちが慣れ親しんでいくという研修方法です。

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左:研究授業の意見・感想を打ち込む、右:付箋機能で整理された状態で研究会が進む



佐藤先生
信州大学教育学部 助教
佐藤 和紀

GIGAスクール構想で児童生徒が活用する環境で教員研修や授業研究に取り組むこと自体が「教員のICT活用指導力」を向上させ,さらに「ICT研修」にもなっていきます。教師の授業力量は,教科等の学習内容の知識,教育方法や評価に関する知識,そして技術やテクノロジーに関する知識を必要とします。従って,学習内容や教育方法と切り離されたICT研修は授業力量に寄与しにくいという特性を持ちます。このようにして日常の業務や校務,実践場面に埋め込んでいくことが必要です。