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はじめの一歩の一歩前

20歩目 中学校における一人一台端末の授業活用について

三条市立大島中学校 山崎 寛山

 小学校と違い,教科担任制である中学校では,担当する先生により端末の活用に大きな差があるようです。今回は中学校道徳の授業において手軽に個人でできそうな活用事例を紹介します。これらは他の教科や課外活動等でも応用できるはずです。

 中学生はなかなか全体の前では発言をしてくれません。しかし,少人数では活発に言えるようです。せっかく良い意見を言ってもそれが拾えないのは授業者としても生徒としてももったいなく感じていました。そこで,一人一台端末を活用し,生徒全員の意見を拾い,そこから展開する授業を考えました。

(1)1時間の流れと使用するツールを生徒に提示(ツール:Classroom)
 私は自クラス用のClassroomに「道徳」のセクションを作成し,毎回,授業の予定と1時間で使うツールのリンクを貼っています。欠席者や教室に入れない生徒がいた場合の対応として,途中からや後からでも参加できるようにしています。

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(2)ワークシートをデジタル化する(ツール:スプレッドシート)
 私は授業では教材(教科書等)の他にワークシートを使っています。これをデジタル化することで,生徒と教師がいつでも共有できるようにしました。紙のワークシートの内容をそっくりそのままデジタルにするイメージです。

 1つのスプレッドシートのファイルには,生徒全員分のシートが用意されています。そして生徒のシートの後ろには 提示用として全員分の意見が閲覧できるシートを用意しました。これを見れば全員分の意見が1画面で見られるので挙手制や指名制にしなくても生徒全員の意見を集められ,そこから追加発問や個別に質問ができます。

<生徒個別のデジタル版ワークシート> 図2-1

<ワークシートに入力した考えを全員分一覧表示> 図2-2

ワークシートのテンプレートです。ご自由にお使いください。
◯閲覧用URL(イメージです)
◯ダウンロード用URL(こちらを貼り付けていただくと,自分のドライブにコピーできます)


(3)グループで話合い活動(ツール:Jamboard)
 Jamboard による話合い活動は,直感的に活用できるので,小学校でも多く実践されています。図は主発問に対する話合い活動で,グループ(生活班)ごとに1枚のボードを共有して付箋に意見を書き込んでいる様子です。他の班の意見も閲覧できるのが良いです。

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(4)振り返りの入力(ツール:フォーム)
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 年間を通して共通のフォーマットにします。教師はスプレッドシートから,生徒の名前を選択し,日付順に並べると,生徒個人の一覧表が閲覧でき,評価に活かせます。また,生徒に印刷して配付することでポートフォリオ的に活用ができます。







ご自身の授業に取り入れられそうなところから取り組んでみてはいかがでしょうか。



三井先生
常葉大学教育学部専任講師
三井 一希

これまで自分の意見をクラス全員に伝えるには,挙手をして発言する必要がありました。発言に苦手意識を持つ児童生徒は苦しかったと思います。1人1台端末とクラウド技術を活用することで,新たな表現方法を児童生徒に提供することが可能となります。また,共同編集機能を使うことで児童生徒が他者の考えに触れることが容易になります。まさに全員分のノートが自分の手元に集まってくるイメージです。山﨑先生の実践はこうしたメリットを存分に活かしていてとても参考になります。