はじめの一歩の一歩前
春日井市立藤山台小学校 久川 慶貴
まずは生活場面での活用を進めよう
1人1台端末が学校に導入され,1人1台端末「ならでは」の授業での活用を考えなければならない,と考えておられるかもしれません。授業で効果的に活用することも大切な視点ですが,まずは,生活場面での活用から始めると,児童生徒に端末やアプリの活用スキルを身に付けさせたり,活用することのよさを感じさせたりすることができます。そこで身につけたスキルや態度を生かして,授業での活用をスムーズに進めることができます。
例えば,これまで教師が作成していた当番表や,委員会の一覧表などの教室掲示を1人1台端末でデジタル化していくとよいでしょう。Google Classroomまたはチャットルーム等で,スプレッドシートで作成した係の一覧表を児童に配付します(図1)。共同編集機能を用いれば,係を決めながら児童が書き込むことが可能です。これまではメモしておいたものを教師が表に入力して教室に掲示したり,配付したりするという手間と時間をかけていたものが,瞬時に完成します。また,係の活動内容を掲示するために,紹介するカード等を作成することもあるかと思います。Googleスライドを用いてメンバーの写真を添付したり,活動内容を書き込んだりすることができます。さらに,他の班の内容を参照することができるので,上手な表現方法や便利な機能などが素早くクラス全体に広まっていきます。
有志活動や学年行事をプロジェクト型にしよう
チャットやGoogle meet等の連絡を取り合うアプリケーションを積極的に活用させることで,有志活動や委員会活動,学校や学年の行事をプロジェクト型にしやすくなります。
学級でのお楽しみ会を考える有志のグループでは,基本的には連絡をチャットルーム上で行います。そうすることで,全員が話の進み具合を確認することができますし,家庭でも話し合いをすることができるようになります。チャットルーム上には,ビデオ通話への招待URLが貼られたり,遊びの具体的な内容を記したドキュメントが示されたりしていきます(図2)。それらを共同で編集しながら,お楽しみ会の準備を進めていくことができます。
委員会活動では他学級,他学年の児童が参加するため,このようなツールの活用やプロジェクトの進め方がより参考になります。
このような活動は,私たち大人がオンライン上で連絡を取り合い,時にはビデオ会議で話を詰めて…という流れに酷似しています。私たちが問題解決するときの流れを子どもたちに伝えることができます。
本事例では,授業ではなく生活場面での活用を進めています。ICTの活用は,どうも授業のみで活用するイメージが強いようですが,GIGAスクール構想では,学校生活のあらゆる場面で活用しながら情報活用能力を育成していく取り組みです。私たち大人がスマホを使うのは仕事の時だけではなく,どちらかといえば日常の中で使っています。日常で使っているから仕事でも使える,というような発想の転換が学校での活用に求められます。