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はじめの一歩の一歩前

14歩目 情報モラル指導の具体的な授業事例

静岡市立南部小学校 浅井 公太

 令和3年度から,1人1台のICT端末が導入されました。多くの児童は,自分専用のICT端末を触るだけで,うれしくなっていました。私は,この意欲をうまく使って,情報モラルの授業をすることが大切だと思います。特にGIGA元年は児童の意欲を大切にしたいものです。例えば,「○○は禁止」などのルールを何個も作ってしまっては,児童の意欲は低くなってしまいます。そこで,今回紹介するような授業を6年生で行ないました。
 授業の流れは以下の通りです。

①課題提示(5分)
 児童に課題を提示しました。課題は,「あなたは、4年1組の担任になりました。みんな(子どもたち・保護者・先生)が納得するルールを掲示してください。」としました。パフォーマンス課題にすることで,児童がより主体的に考えるようにしました。また,私が4年3組の担任になったつもりで,「4年3組のルール」を児童に提示しました。4年3組のルールは以下の通りです。
1.ICT端末を長時間使って慣れるのがよい。とにかくたくさん使いましょう。
2.授業中にも気になったことは,なんでも検索して調べてよい。
3.普段言えない悪口も,ばれないように書いてよい。
4.市から1人ずつアカウントが用意されたので,どんなところにも登録してよい。

②4年3組のルールをPMIチャートで分析(5分)
 児童は,4人1グループになって,私が提示した4年3組のルールを、PMIチャートを使って評価しました。この時、児童はGoogle ジャムボードを使いました。児童は共同編集し,4年3組のルールを見て「これじゃだめだよね。」と言いあいながら,付箋を貼りました。思考ツールを使うことで,班活動でも思考を深めやすくなると思います。

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③自分たちのルールを決める(15分)
 4年3組のルールを評価していくと,自分たちが決めたいルールがだんだんとはっきりしてきます。この話し合いでは,Googleスライドを使いました。教師は,枠だけを用意しました。児童は共同編集し,子どもたち・保護者・先生が納得するルールを話し合って決めていきました。

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④学級全体に発表(15分)
 各班で決まったルールを大型モニターで掲示して,全体に発表しました。そして,全体でどんなルールがいいのかを話し合いました。学級全体での話し合いでは,「端末の使用に制限をかけるか,かけないのか」をポイントになりました。最後には,「制限をかけると,自分たちで管理する力がつかない」という意見がでました。

⑤ふりかえり(5分)
 最後に,授業の振り返りを書きました。

 今回の授業では、児童がICT端末を触ってうれしくなる気持ちをうまく使って,情報モラルの授業ができました。ICT端末を自由に、そしてたくさん使いたい気持ちはあるのですが、「自分で制限できないと上手な使い方にならない」「制限をかけると,自分たちで管理する力がつかない」と児童自身が気がつきました。このことが、今回の授業の最大の一番の成果に感じます。



三井先生
常葉大学教育学部専任講師
三井 一希

端末を安全・安心に使う上で最低限のルールや約束は必要になってきます。浅井先生のように,パフォーマンス課題を設定し,子供たちに当事者意識を持たせながらルールや約束を決める実践はとても参考になります。ルールや約束は一度決めたら終わりではなく,定期的に見直すようにするとよいでしょう。