令和2年度版 小学校教科書
学校図書の理科
理科目次
編集にあたって
学校図書の教科書は「多様性を前提とした問題解決能力の育成」を編集理念としています。小学校理科では、この編集理念を踏まえ、「これからの社会の中で、子供たち一人ひとりが持続可能な社会の担い手として主体的に生きていくためには、個々の考えを尊重し問題解決をしていき、共に高め合う力を育成する。」を編集方針としました。
編集の特色
本書の薦め
-
横浜国立大学 名誉教授
森本 信也
問題解決を通した、資質・能力育成を保障する
新学習指導要領の目標にある「主体的・対話的で深い学び」の実現、その成果としての資質・能力の育成を踏まえて本書『みんなと学ぶ 小学校 理科』は編修されました。具体的には、小学校理科教育の基本である問題解決の過程に、これら2つの視点を組み入れていきました。詳しく見ていきましょう。
すべての単元で、問題を見出すことに始まり、考察、まとめに終わる展開が示されます。そして、学習を展開する際、「見方・考え方」を働かす視点が明確に示され、学習の焦点化がなされます。その結果、予想、観察、実験の整理、考察における予想の検証等、それぞれの活動のつながりが明確になります。それは、自然と「主体的・対話的で深い学び」、すなわちアクティブ・ラーニングの視点に立つ理科授業を実現します。これは育成すべき資質・能力の中心となる思考力・判断力・表現力等が育成される状況です。
本書が最も力を注いだ点です。本書を推薦する理由でもあります。
-
元筑波大学附属小学校 副校長
森田 和良
「道具」と「見通し」をもたせる教科書の活用が、
新学習指導要領では、見方・考え方を働かせ、資質・能力を育成することが重視されます。今までの授業のどこを改善すればよいのか考えてみましょう。
資質・能力の育成を促す
学習を料理にたとえてみます。すばらしい素材(教材・教具)を準備しても、誰もが料理の完成(資質・能力の育成)に至るとは限りません。素材を料理(問題解決)するためには、道具と経験(自然体験や学習観)が必要です。 道具に当たるのが「見方・考え方」です。新しい教科書では、道具選びを料理人(学習者)任せにするのではなく、誰もが使える道具(見方・考え方)を示しました。また、経験が少ない場合は、道具だけでなく見通しをもたせる適切なアドバイスも必要です。教科書には、問題解決に至る方法を丁寧に示し、学習者に見通しをもたせることにしました。
方法と目的が明確になれば、人は主体的に行動できます。学校図書の新しい教科書を十分に活用することで、誰もが“料理の完成”、つまり資質・能力の育成を実現させることができます。