令和2年度版 小学校教科書
学校図書の英語
英語目次
編集の基本方針
学校図書の教科書は、「多様性を前提とした問題解決能力の育成」を編集理念のもとに、英語は以下のような基本方針としました。
・繰り返しと気付きを大切にし、英語を理解する力を育てる。
・身近な交流を通して、英語を創造的に使う力を育てる。
・英語やその文化に興味を持ち、学びを広げようとする姿勢を育てる。
編集の特色
私たちの思い
-
上智大学
言語教育研究センター長吉田 研作
大海を生き抜くことのできる児童に
今までの英語教育は、「何を知っているか」という「知識及び技能」に重きが置かれ、テストなどにおいても、文法や語彙の知識を問う問題が中心でした。その反省から、今回の改訂では「思考力,判断力,表現力等」の育成こそが大切だとしています。
学校では、金魚鉢の中で教育がなされがちです。最良の環境で生きられるようにいろいろと手を尽くし、汚れや異物を排除し、良い餌が提供されます。しかし、現実の世界はそのようなきれいな環境ではありません。自分で餌を探し、住処を探し、力強く生き、大海原を自由に泳ぐことが求められます。
これからの英語教育は、金魚鉢の人工的な環境の中で知識を与えることだけで満足せず、運用力を持って大海を生き抜くことを目標にしなければなりません。そのためには小学校段階ではまず、児童が自分で考えて「分かった!」「伝わった!」「使える!」という喜びを感じることが必要です。
JUNIOR TOTAL ENGLISHは、児童の推測する力を信じ、「分かった!」「伝わった!」「使える!」という喜びを積み重ねることのできる教科書であると思っています。
-
東京学芸大学教授
粕谷 恭子
英語の学びの流れの第一歩
英語教育は、小学校3年生からの外国語活動を含めて、高校3年生までの10年計画になります。高校3年生で、五つの領域に渡ってバランスのとれた英語力を身に付けて、英語の大海原に出て行くために、さかのぼって小学校・中学校でせせらぎから小川になり、 小川から川になり、川から大河になって大海原に流れ込む英語の学びの流れを作る必要があります。せせらぎの始まりは木の葉に宿る小さな雨粒です。その雨粒が落ちて集まって、川になり大海に注ぐのです。山の上で断絶した池や水たまりになるだけでは困ります。
流れを作るためには、中学・高校になったらこういうことをする、その手前で小学校ではこれをする、という10年間の英語の青写真を持つことが必要です。高校3年生でバランスのとれた英語力を身に付けるために、小学校では、音声によるインプットに始まる豊かな言語経験を保証することが特に肝要です。
JUNIOR TOTAL ENGLISHが、英語の大海原への流れを作る第一歩として、子どもたちから、先生方から愛着を持って命を吹き込んでいただけることを、心から願っています。