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tami tamiのステキ!ホンキ!入門期

tami tamiのステキ!ホンキ!入門期

 この連載では、今年、私が小学校や幼児教育施設とのかかわりの中で学んできたことをエッセイ風に綴りながら、お読みいただく先生方と一緒に勉強していきたいと思っています。

目次

第1回 スタートカリキュラム始動!

第2回 ある校長先生からの相談 (New)

第3回 幼児教育施設の現状

第4回 入学3日目の子どもたち

第5回 入学から2ヶ月。すっかり小学生になった子どもたち

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回

第1回 スタートカリキュラム始動!

今年は特に忙しい!

 大学教員の仕事は、一般的には「研究」、「教育」、「学務(組織運営)」といわれていますが、「研究」や「教育」から得た知見を社会に還元することも重要な仕事です。今年になってから、スタートカリキュラムに関する相談を教育委員会や小学校から受けることが多くなりました。2017年に刊行された学習指導要領解説(以下、「解説」)には、「スタートカリキュラムの編成」が言及され、いよいよ2020年度から、本格的にスタートカリキュラムがすべての小学校で開始されることが背景にあるようであるようです。

進化するスタートカリキュラム

 スタートカリキュラムは、小一プロブレムなどの問題を解決し、学校生活への適応を進めることが、2008年刊行の「解説」では期待されていました。一方、来年度からのスタートカリキュラムは、生活科固有の課題としてではなく、カリキュラム・マネジメントの視点の検討や学校全体での取り組みなどが求められています。つまり、本質的な子どもの発達を軸とした教育内容の接続が求められるステージに達したと考えてよいでしょう。

スタートカリキュラムの3ステージ

小学校の先生の本音

 しかし、ある市の生活科主任の夏季研修会で、5月の研修会のまとめを拝見したところ、スタートカリキュラムの共通認識としてキーワードが「揃える!!」となっておりました。「幼保の違い、生活経験の差、学力差などを揃えていきたい」とのことでした。2015年に刊行された『スタートカリキュラムスタートブック』は、「ゼロからのスタートじゃない!子供は幼児期にたっぷりと学んできています」と書かれていますが、現場で子どもたちと直に接している先生方の本音を垣間見ることができました。

子どもの経験はゼロではない。でも……

 誕生から6年間、子どもたちは多様な環境のもと、成長・発達を遂げてきます。したがって、一人一人はそれぞれの経験を有しており、ゼロからでのスタートではありません。しかし、就学前教育は初めての集団生活となりますから、そこでの生活習慣、学びの内容や方法は、子どもたちに大きな影響を与えます。また、就学前教育は、幼稚園と保育園のだけではなく、それぞれの公立と私立があり、2015年4月の「子ども・子育て支援新制度」施行後は、幼稚園や保育園の認定こども園への移行、さらに企業主導型保育所も参入など一層複雑なものとなってきました。

スタートカリキュラムをどう活用するかが肝

小学校が受け入れている幼稚園等数

 2017年度の静岡県幼児教育センターの調査によると、小学校1校が受け入れている幼稚園等の数は、1から50以上までと差がありました。少数の幼児教育施設からの受け入れであれば、園との連携を密にし、子どもの生活や遊びの経験をなだらかに引き継ぐことが可能です。一方、多くの園から受け入れる学校や規模の大きな学校は、一工夫必要です。スタートカリキュラムを紙面上で編成することは難しくないと思いますが、それをどのように活用するのかそれが、問われているのではないでしょうか。


次回は、「ある校長先生からの相談」についてです。

第2回 ある校長先生からの相談

SC(スタートカリキュラム)チーム会議スタート!

 1月、ある小学校の校長先生から全校体制でスタートカリキュラム(以下、SC)に取り組みたいとの相談がありました。学校の規模は、1学年4クラス程度、25~30の園から子どもたちが入学してくるSCの必要性の高い学校でした。

 校長先生からは、1年生の実態と課題、幼小の交流や連携の実態、そしてSCについては、

①大人の都合ではなく、子どもの思いや願い、そして先行経験を大切にしたい
②午前中5時間という特色ある時間割を生かしたカリキュラムにしていきたい
③生活科の見直しをしたい

と基本的な実態と方針をお聞きしました。

 この日は、3月上旬の第1回SCチーム会議に向け、「忙しい中でも取り組んでよかったと思えるSCをめざす」ことを確認し、キックオフミーティングは終了しました。

 3月、校長ほか、教頭、主幹教諭、1年部の先生方の出席のもと、第1回SCチーム会議が開かれました。また、校長先生が方針を述べられた後、主幹教諭が進行役となり、SCの構想の確認(目的、構想、作成の視点)がなされました(具体的なSCについては第4回で紹介します)。1年部の先生からは、身の回りの整理、文書の配布と回収など基本的な生活に関する課題が語られました。

 幼児教育は、遊びを通して総合的に指導をしています。つまり、子どもの好奇心や遊び心を保育者が読み取り、子どもの思いや願いに即した内容や指導方法を選択し、子どもと一緒に保育環境を創造します。

先生の遊び心を掘り起こす

 活動に遊び的な要素を取り入れることにつて小学校の先生がどのようにイメージされているのかを知りたくなり、「一つ一つのことをごっこ遊びに例えてみませんか」と先生方に質問してみました。すると、教頭先生が「配布物は、『郵便ごっこ』ってところですか」とちょっと恥ずかしそうに答えてくださいました。

 幼児教育の現場では、保育者が「郵便屋さん、お願いします」といって、郵便ごっこの体裁を取りながら、配布物を配布する園もあります。幼稚園での勤務経験のある小学校の先生は、トイレの使い方は「トイレ探検」、発育測定は「保健室探検」という感じで、「探検」という遊び的な要素をふんだんに取り入れながら、小学校の生活や学習に子ども達を誘っている事例を伝えました。先生方も徐々にイメージが膨らんできたようでした。

 先生方の話から、先生方が考えていらっしゃる幼児期の遊びは、子どもの自発的な活動としての遊びではなく、帰りの集まりなどで行われる手遊びや読み聞かせといったステレオタイプの活動をイメージしていることがわかりました。集団的な遊びだったにしても、子ども達は、鬼ごっこやジャンケン列車、フルーツバスケットなどは自己を発散でき、友だちと自然に関わることができる動的な遊びが好きです。子どもに合わせた静と動のバランスの取れた活動をSCにいかに取り入れることができるのかが重要です。しかし、先生方は「体験したことがない子がいたら困るのではないか」と慎重になられておりました。遊んだことがなかったにしても、子どもはおもしろそうなことは、他の子どもが遊んでいる様子をみて、どんどん学んでいきます。もっと子どもの力を信頼してもよいと感じました。

幼児教育の現場へ

 小学校と園では、特別な支援の必要な子どもや家庭についての情報共有については行われていますが、園の具体的な生活(1日の生活の流れ、個人の持ち物の整理、配布物の扱いなど)や集団遊びについての把握が不十分だということが会議でわかりました。そこで、3月中に複数の園の実態調査を実施し、4月に初旬に報告するということで、第1回SCチーム会議は終了しました。

 SCの開始や学校種間の接続の重要性が強調され、園を参観する機会が多くなってきているのではないでしょうか。小学校の先生がご覧になれば、それぞれの興味や関心に基づき、環境に働きかけ遊んでいる姿は、「かわいい」と思われるでしょう。なぜ、かわいいと感じたのか?一歩深めた省察をする時間がもてるとよいと思います。また、ロッカーや掲示物などから子どもの一日の生活の流れや様子も感じ取ることができます。参観の機会を有効に使うことで、子どもの発達や園での遊びや生活を深く知ることができるでしょう。

 次回は、「幼児教育施設の現状」についてです。

第3回 幼児教育施設の現状

<準備中>

第4回 入学3日目の子どもたち

<準備中>

第5回 入学から2ヶ月。すっかり小学生になった子どもたち

<準備中>

田宮 縁(たみや ゆかり)
幼児教育学、生活科教育学、総合的学習の時間など環境との相互作用の中で、総合的に学ぶことを研究の領域としています。特に、教育実践、教育現場に軸足をおいた研究が中心で、現場の先生方や社会教育施設、地域の人などとかかわりながら研究を進めています。ESD(持続可能な社会づくりの創り手を育む教育)、教師教育、学校種間の接続についてなど現代的な課題が興味の中心。現在、保育プロセスの質の向上のためのリフレクションシートを開発中。

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