TEADA 2021/前期号
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本名夏目金之助誕生日1867年2月9日 みずがめ座職業小説家 評論家 英文学者好物アイスクリーム 羊羹 イチゴジャム 落花糖 など親友正岡子規プロフィール夏目漱石 日本文学を代表する作家の1人,夏目漱石。彼は『こころ』『坊ちゃん』『三四郎』など数々の小説を世に生み出しました。第1回は,そんな名作家のダメっぷりエピソードをご紹介します。 漱石が作家として活動したのは10年ほどで,その前は英語教師をしていました。漱石が“I love you.”を「月がきれいですね」と訳した話が有名ですが,これは彼が中学校で英語を教えていたときのエピソードです。そんな漱石は33歳のとき,政府から英語研究のための留学を命じられ,遥々イギリスへ向かいます。 ところが,イギリス人相手に彼の英語はまったく通じません。帝国大学英文学科を首席で卒業するなど,英語力に自信のあった漱石は大きなショックを受けました。 そして,漱石は部屋から1歩も出なくなり,引きこもってしまいます。結局,何の成果もないまま日本へ帰国することに……。留学は完全に失敗に終わりました。 漱石は極度の甘党でした。留学時代に知った洋菓子が大好物で,アイスクリームが好きすぎるあまり,自宅にアイスクリーム製造機を設置していたとか。 また,和菓子では羊羹を好み,身体を気遣った家族が羊羹を隠しても,必死に探しだして食べてしまうほどでした。 ジャムも好きで,缶入りジャムをひと月に8缶も食べていました。療養中でも,甘い物はやめられなかったそうです。 彼が小説を書くようになったのは,イギリスから帰国した後のことです。留学が失敗し,精神的に落ち込むことが多くなった漱石に知人が「文章でも書いて気を紛らわせたら?」と勧めたのがきっかけでした。 そこで生まれたのが,漱石の処女作『吾輩は猫である』でした。この作品には,ジャム好きの苦沙弥先生という人物が登場し,漱石自身がモデルだといわれています。 もし彼が留学に失敗しなかったら,数々の名作は誕生せず,苦沙弥先生のような登場人物は存在すらしていなかったかもしれません。彼が生涯で生み出した作品は100を超え,今も多くの人に読み続けられています。極度の甘党!ダメっぷり❷ダメっぷりから生まれた名作留学失敗!ダメっぷり❶12TEADA 2021 前期号

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