一見元気な子どもでも,見えないところで心や身体の不調を抱えていることがあります。みなさんのまわりで,気になる子はいないでしょうか。このコーナーでは,心の不安定さからくる病気や症状,気質などを中心に,兆候や症状,対応の仕方などについて,医師の宇野里砂先生に解説していただきます。知っておきたいHighly Sensitiveは「感受性が非常に高い」「繊細すぎる」などと訳され,「HSC/P」はちょっとした物音や些細なことに強く反応し,それによって苦しさを感じる子ども/人をいいます。アメリカのユング派心療法家のエイレン・N・アーロン氏によって提唱されました心理学的な概念です。精神疾患ではなく,性格的な特性で,日本では5人に1人の割合でいるといわれています。最近では,「繊細さん」「敏感さん」と呼ばれ,認知度が高まっています。子どもの場合,にぎやかな場所や集団行動が苦手という傾向から学校になじめず,不登校につながるケースがあります。感覚が研ぎ澄まされているので,芸術関係で素晴らしい能力を発揮することも。宇野里砂先生医学博士・児童発達支援センター小児科医師・武庫川女子大学教育学部准教授。センターや保健所での乳幼児の発達,学童の発達障害の診療を担当。園・小中学校・支援学校・教育委員会等において教員・保育士・学校看護師対象に発達支援・医療的ケア児支援等に関する講演等を行なっている。Highly Sensitive Child/PersonHSC/P気になる1FILE No.HSC/Pの特性は,大きく4つ挙げられます。❶深く処理する長時間考えたり,深く掘り下げて考えたりしてしまう。❷刺激を受けやすい心のフィルターが弱く,すべての刺激が心に入り込む。❸情緒的な反応と共感性が強い人の考えや気持ちを察知し,強く共感してしまう。❹些細な刺激を察知する五感の感度が非常に高く,一度刺激を受けると長時間続く。どんな様子?どんな性質をもつ?10TEADA 2021 前期号
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