GAKUTO 2020 特別号
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5コロナ禍に学ぶ学校教育 Special対談 例えば、コロナ禍の授業から学んだ学習指導に関することとして、「年間指導計画がくずれ、何を絶対に習得させなければいけないかを、各々の教師が考えるようになった」とあります。こういうことにあらためて気づいたということは大事なことです。 それから、「量より質が大事だと感じた。指導書通りにできなくてもよいという感覚が今まではなかった」という回答があります。ここがポイントなのですね。先ほど教科書コンセプトの見直しで申しあげたとおり、この単元の、この時間は対話的な学びだよ、ここでは主体的な学びだ、というように「質」を考えるということです。 今は辛くてストレスの多い毎日ではあるけれども、先生方にはこれらの基本的なことを、もう一度自分なりに考え直してみる。大げさにいえば、学校というところは何を教えるところなのか、自分が依って立つ教育観は何なのかを見つめ直してみる、という機会としてとらえていただければと思います。 ただ、日常の学校生活においては、保護者等への対応もいろいろあってたいへんだとは思いますが、とにかく子どもたちのために耐えて頑張っていただきたいと願っています。 それから、教育行政に対してですが、今回の対応について全国いろいろな行政に聞いてみたところ、教育委員会が前面に出て、一つ一つを指示しているところもあれば、学校裁量を重んじているところもありました。例えば、学校行事、修学旅行をどうするというような判断についてですね。 私の希望では、やはり学校設置者としての教育委員会が学校の前面に常に出て学校を支援するという姿勢が必要で、ここでもう一度その責任と立場を考え直す機会にしていただけたらありがたいと思っています。 保護者や地域について言えば、やはり思いはいろいろとあるでしょう。いろいろなことはあるだろうけれども、とにかく「子どもを守るのは学校、学校を守るのは保護者と地域」ということを忘れないでほしいと、最後に申しあげておきます。||本日は、貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました。 今すぐ何か問題がおきるというよりも、彼らが何か社会的な学習をしないまま大きくならなければいいなという心配があります。知識・理解の伸長も大事だけれど、今からできることとして人間関係づくりはとても重要なことだと私はとらえています。芹澤 ありがとうございました。今後の、リモート授業のあり方、学校での対面授業のあり方などについてもヒントをいただいた気がします。今回の『教育時評』を参考にさせていただき、コロナ後についてまた私たちも考えていきたいと思います。||新型コロナウイルス感染症はまだ終息しそうになく、学校ではまた年度末、新年度を迎えていくことになり、さらなる対応が続くと予想されます。日々ご苦労されている先生方をはじめ教育関係者の方々に、応援メッセージをお願いします。芹澤 先ほど理事長がご指摘されたように、先生方は、子どもたちの安全、ご自身の安全、家庭や社会への対応など、様々なことに気を遣って生活をされていて、本当にたいへんかと思います。しかも、研究会や研修会は中止、教員同士の集まりや懇親会も自粛するなど、何をやってもいけない状況にあると思います。 私たちができることとして、日々悩まれている先生方に向けて、例えば、オンラインの講習会や、ズームを通してのセミナーなどの場を提供していきたいと考えています。ぜひ参加していただき、同じような悩みをかかえている先生方と交流をしていただきたいと思います。 そのような形で私たちも支援ができるように様々な手立てを充実させていこうと考えていますので、先生方もぜひ頑張っていただきたいと思っています。若月 今のご提案は、非常に大切で素晴らしいことだと思います。ぜひ実現していただければ、先生方も力づけられるだろうと思います。 今日いただいたこの現場アンケートをみると、やはり先生方が大事なことに気づいていらっしゃると思うことがあるのですね。子どもたちのために、ともに頑張りましょう!この対談は2020年11月に行われました。

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