GAKUTO 2020 特別号
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2コロナ禍に学ぶ学校教育 Special対談コロナ禍に学ぶ学校教育||2020年は、教育界も新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。教科書発行者、教育研究機関として、いろいろな情報や要請が寄せられたと思います。芹澤 3月2日からの一斉休校要請があまりに突然だったので、学校現場としてもどのように対応したらよいのか、いろいろと悩まれたことと思います。各学校では、家庭学習用の教材を作成して家庭に届けるなど様々な工夫をされ、私たちにもそれに関わる問い合わせをたくさんいただきました。 また、休校中の対応はもちろん、学校再開後にも、密にならない工夫、英語のように声を出さなければならない授業での苦労、机や椅子に飛沫対策のカバーを付けるなど、様々な取組をして授業をしているというお話をたくさんうかがいました。 私たち教科書発行者としても、文部科学省や教科書協会、教科書著作権協会と協力し合って、教科書を十分に活用した補充のための授業資料の提供等教科書利用についての柔軟な対応に始まり、有償コンテンツの無償措置、新たな年間指導計画参考資料の作成をする等、緊急事態宣言期間後まで様々な対応をしてまいりました。 また、ちょうど今年度は中学校教科書の採択が行われる年で、本来は学校にうかがってPRをさせていただく時期であったのが、学校には入れず、ホームページ発信やパンフレット等の送付物での対応が続いたという状況でした。若月 年度末に一斉休校となり、新年度に入ってもしばらく休校が続くという、日本中皆が初めて体験する大混乱で、学校は本当にたいへんだったろうと思います。 私のところに寄せられてきた情報をまとめると、ひとつは学習(授業時数含む)・行事・安全という子どもに関わる不安とその対応、もうひとつは教員自身の安全や教員生活(授業準備、教材研究、研修等)に関わる不安とその対応、三つ目は保護者・地域のもつ不安とその対応に大きく分けられます。そして、この三つがたいへん大きな課題であり、しかもお互いに複雑に関わり合いながら、日々学校や教育委員会等の教育関係者に押し寄せその対応に追われたというのが、新型コロナウイルス感染症対策の様相ではなかったでしょうか。 ある地区では、子どもが新しい教科書を手にしたのが4月の終わりから5月、それも学校によって異なり、中には学年別に時間をずらして保護者に取りに来ていただくなど、そこまで神経をつかったという話も聞きました。今までの日本の学校教育では経験したことのない新学期のスタートであったわけで、これは本当にたいへんな事態だったのだとつくづく思いますね。||こうした状況の中で、「学びの保障」のために、リモート授業を含めた学校外での授業のあり方についての議論が高まっていますね。芹澤 今回の状況としては、最初は、年度末から春休みまでの対応で、先生方もすでにほとんど内容を終わらせ教育界においても未曾有の経験ICTを活用した学校外での授業に対する要請1特集 対談Specal一般財団法人学校教育研究所理事長若月秀夫学校図書株式会社代表取締役社長芹澤克明其の一 一般財団法人学校教育研究所 理事長 若月秀夫氏新型コロナウイルス感染症は、今年度の学校教育に多大なる影響を及ぼしました。コロナ禍真只中の4月1日に就任した学校図書芹澤新社長と、学校教育研究所若月理事長に、コロナ禍の教育を振り返るとともに、これからの学校教育、教科書等について語り合っていただきました。G

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