GAKUTO 2020 特別号
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17進む、デジタル教科書の活用 実践紹介❶かるかな?」です。練習問題などの解説の時に、ある生徒のノートの画像がテレビに映し出されます。私が「この人は、どうやって(何に注目して)この問題を解いたんだろう?」と聞くと、一斉に考え始めます。(図9)(もちろん、ノートの本人は黙って様子を見ています。)分かった生徒は手を挙げて「きっと、このノートの持ち主は……。」と説明します。説明が終わると、ノートの本人が解説の答え合わせをします。周囲の生徒達もわくわくしながら見守ります。額を寄せ合って、話し合いや考え方の交流を控えた方が良いと言われている昨今でも、楽しく考え方の交流が出来るので、ぜひ、やってみてほしいと思います。 指導者用デジタル教科書について、まだ、不満や不便さを感じる方も多いと思います。しかし、私自身は、前述した授業評価アンケートの結果や、実感するスピード感のある授業展開など、手放し難くなっています。ご紹介した事例にあるように、生徒達は、どんどん主体的に対話をするようになって、学び合いの深まりにも大きな役割を担っています。 また、無理に具体物で表現しようとしていた数学的な概念の表現も、そもそもデジタルの方がしっくりときますし、今の子どもたちも、その方が理解しやすいのかもしれません。 全てをデジタル化することには大きく反対ですが、デジタルで表現すると理解が早いものについては、積極的に扱っていく方が、事象を数理的に捉え、数学の問題を見いだして解決していくためにも、子どもたちへの恩恵は大きいと思います。 デジタル教科書の今後の課題は、ユーザー数だと思い3.授業の成果と課題と今後の予想ます。インタラクティブコンテンツの効果や使い勝手、学習者用デジタル教科書との連携の問題なども、多くの声が反映される必要があると思います。 以前から、授業に利用できるように、長さや角度を自由に変えられる図を作成できるツールや、自分で、グラフを作成できるソフトなどを独自で開発されてきた先輩達はたくさんいらっしゃいます。私も、いくつかかじったことはあるのですが、残念ながら専門的な知識が必要だったり、限定的な環境を準備する必要があったり、ズボラな私には使いこなせませんでした。 その点、指導者用デジタル教科書は、多少慣れは必要ですが、難しい操作ではありません。ユーザーが増え、その活用をテーマとした実践研究(昔で言うところの「教具の活用」でしょうか。)を通して「このような機能が必要だ。」とか「この使い方のニーズが多い。」などの意見交換がされ、便利な使用例が広がることと、それらの要望が反映されてデジタル教科書そのものが、どんどんバージョンアップされていくことを期待しています。 最近の合理的配慮とユニバーサルデザインの考え方に基づいた基礎的環境整備が必要であると指摘されている現状も考えると、指導者用デジタル教科書を使って授業をする先生方は、どんどん増えていくと思っています。なにより、板書記録や授業の中で使用したノートなどの記録は、手軽に授業改善に活かせるのです。ぜひ、多くの方に手に触れていただいて、活発な実践交流が増えて欲しいと願っています。▲ 図8:ノートの撮影の様子▲ 図9:生徒のノートの画像からその考え方を問いかける様子● この記事でご紹介しました授業の様子やコンテンツの様子は「学校図書WEBサイト」にてご覧いただけます。▲ QRコードからアクセスしてください。

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