GAKUTO 2020 特別号
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10進む、デジタル教科書の活用 ICT活用の基盤づくりを進めよう進む、デジタル教科書の活用2特集 GICT活用の基盤づくりを進めよう― ポストコロナのハイブリッド授業に向けて ― 校内研修や講演でよくお願いされる内容の一つに、「なぜGIGAスクール構想によって一人一台の情報端末を活用していかなければならないかについて説明していただきたい」というご依頼をいただくことがあります。一つは、新型コロナウイルス感染症拡大によって休校期間が続いた際に、学習が滞ったことによって「ハイブリッドな学習」が求められたこと、もう一つは児童生徒の情報活用能力を育成することが挙げられます。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、子どもたちが学校に通えない状況が長期化したことは、日本の学校現場におけるICT環境整備が不十分であることを改めて浮き彫りにしました。すでに環境が整っている学校では、オンライン授業などを積極的に行い、学習の遅れを少しでも抑えようとする動きがありました。ある小学校では、学校を休んだ児童と常時Zoomで接続し、いつでも授業を見ることができたり、参加できたりする取り組みがされていました。また、ある中学校では、休校中に毎朝Googleフォームで検温結果を送信する取り組みがされていました。(図1) これまで教員は「ICTが得意ではない」「ICTを活用することができない」と言われてきました。しかし、コロナ禍において、多くの教員が子どもと会えず授業ができない状況に歯がゆい思いをし、「学校とは」「教師とは」ということを自問自答したと聞きます。このことを通して、ICTに様々な可能性を感じ、多くのアイデアが生まれ、実践されるようになっていきました。ウィズコロナ、ニューノーマルの時代においては、対面授業とオンライン授業を組み合わせた「ハイブリッドな学習」が必要となります。 なぜ情報活用能力を育成することが子どもたちの生きる力を育てることにつながるのでしょうか。それは、時代の急速な変化とともに、情報を活用しなければ、学ぶことも、仕事をすることもできない世の中になっているからです。これまでの日本は、学校で学んだことをきちんと覚えていれば、定年まで働き続けられる安定した社会だったことでしょう。しかし、終身雇用はすでに崩壊信州大学助教佐藤和紀新型コロナウイルス感染症拡大による休校と学習児童生徒の情報活用能力を育成する▲ 図1:Googleフォームで検温結果を送信するなぜGIGAスクール構想か

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